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「2つのDX」でデジタル時代の働き方改革を

2020年6月8日

レポート


「週刊金融財政事情」2020年2月10日号「時論」コーナー掲載(きんざいOnline:https://kinzai-online.jp/node/6008)

執筆:一般社団法人 日本CTO協会 代表理事(レクター代表) 松岡 剛志

 

 日本の労働生産性は先進国で最も低い水準で推移している。そして、日本はこれから未曾有の人口減少フェーズに突入していく。このような状況の中で、今後の企業経営にとって最も重要なことは、デジタル技術を用いて効率的なビジネスを実現していくことだ。

 

 これからの時代は人的資源が一層貴重になる。一方、コンピュータはますます安価に調達できるようになるだろう。そうならば、人の代わりにコンピュータに働いてもらったほうが遥かに効率がいいのだ。

 

 それに伴って、企業マネジメントの考え方も変わっていく。今までは「人」に的確に指示できるようなマネジメント層が求められてきた。これからは、「コンピュータ」に的確に指示を飛ばし、人と共に共創していくソフトウェアエンジニアリングが重要になってくる。

 

 企業がどれだけうまくデジタル技術を活用できているかを表す言葉を「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という。経済産業省も昨年7月に、「デジタル経営改革のための評価指標(DX推進指標)」を公開するなど、官民共に注目のキーワードになっている。

 

 私たちは昨年9月に、「日本CTO協会」を立ち上げた。ヤフーやメルカリといったメガベンチャーをはじめとする日本屈指のDX企業のCTO(Chief  Technology Office=r最高技術責任者)11名が理事となっている。当協会は、ビジョンとして「二つのDX」を掲げている。

一つ目のDXは、先述の「デジタル・トランスフォーメーション」。そして二つ目のDXは、デベロッパー・エクスペリエンス(開発者体験)」だ。つまり、開発者たちがスムーズに価値創造に取り組める環境・体験を整えることを意味している。先進的なデジタル技術を活用している企業では、DXとは、二つ目のデベロッパー・エクスペリエンスを指すことの方が多いのだ。

 

 価値の高いサービスを作り続けている企業には共通点がある。それは、「高速な仮説検証能力を持つこと」である。例えば、米アマゾンでは「1時間に1000回以上」もソフトウェアが改善され、リリースされるという。それに対して、多くの日本企業のシステムは、「1年間に数回」のアップデートにも四苦八苦しているというのが現状だ。

 

 このような桁違いに高速な仮説検証能力を持つには、技術的な側面だけではなく、組織設計や権限委譲、心理的安全性といった組織的な改革が必要不可欠だ。このような環境づくりが、二つ目のDX、デベロッパー・エクスペリエンスを高めていくのである。

 

 二つのDXは、どちらも欠かせないデジタル化の両輪となる。これらのノウハウを蓄積し、社会に還元していくことが日本CTO協会の役割である。そのために、DX基準の作成、リポートや調査報告、各社CTOたちとの交流会・勉強会を定期的に開催している。発足したばかりの団体だが、「日本を世界最高水準の技術力国家にする」ことを目標に、共に切磋琢磨していただける法人会員を募集している。

(一般社団法人 日本CTO協会 代表理事(レクター代表) 松岡 剛志)