2020年Q1中国デジタルユーザ行動分析|新型コロナウイルスの戦い後押し・経済活動の再開・デジタル化のさらなる加速
レポート
※ Analysys社は2012年に創業以来、ビックデータとアルゴリズムを核とした製品、プラットフォーム、ソリューションを構築し、データ活用の成功事例を数多く蓄積し、中国を代表するビッグデータアナリティクス企業となった。企業がビックデータを効率的に管理し、サービス運営を洗練させ、データに基づいたクローズドループマーケティングによる収益成長、コスト削減、効率化を実現し、運用リスクを大幅に回避、無駄のない成長を実現することを支援している。
2020年3月までに、Analysys社が観測しているスマートデバイスは24.2億台に達し、MAU(月間アクティブユーザ数)は6.1億人に到達した。データサンプルは中国で利用されている主要なアプリ1200以上をカバーしている。この中には、金融、eコマース、自動車、音楽など15の人気分野が含まれている。Analysys社は、海外企業が中国国内のインターネットビジネスを理解するための絶好の機会を提供している。
本記事は、Analysys社の許諾のもとに翻訳・掲載している。
1. コロナウイルスは国民のデジタル生活を加速させ、一人当たりのインターネット利用時間は過去最長に
1.1 コロナウイルスは、国民のデジタル生活を加速させ、一人当たりの利用時間やアプリのインストール数が過去最高を記録
2020年第1四半期、中国インターネット使用者数は10億2200万で、前四半期(2019年9月- 12月)に比べると0.41%増加した。 第1四半期における、コロナウイルス感染拡大により国民生活のデジタル化が加速し、個人の1日利用時間は6.92時間に達した。これは、前四半期に比べ14%増加した。1ヶ月間にインストールされたアプリ数は50.95と、これも過去最高を記録し、前四半期と比べ8.2%増となった。




1.2 細分化された領域、法人向けサービスの利用増加、オンライン教育の教育需要への供給
コロナウイルスの影響で2020年第1四半期は、中国国内で日常生活のデジタル化を加速させた。とくに 法人向けサービスの利用が増加した。釘釘、WeChat Work(企業微信)、テンセント会議などを使用したテレワークが爆発的に増加し、徐々に企業に対して不可欠なツールとなった。長期的な目線でみると、中小企業のDXを加速させることが期待されている。
新型コロナウイルス蔓延時期において、「登校を止めても学生の授業を止めない」をスローガンに掲げ、多くのオンライン教育サービスでは無料講座を開講し、ユーザが急増している。 冬休みの期間に比べて、学習に対する需要は増大した。教育プラットフォームはオフラインの教師、学校、学生をオンラインでつなげる役割を果たし、カリキュラムに沿った教育を支援している。Tencent Classroom、TeachLearn、StudyToneなどのプラットフォームは効果的に新規ユーザを獲得し、大幅な躍進を遂げた。
3月に入り、新型コロナウイルスの感染が収まるにつれ、国民は以前の生活を取り戻した。新型コロナウイルス感染のTier1都市(※)に人々が戻り、生活サービス関連の多くの領域が回復を見せている。とりわけフードデリバリー分野において、飲食店の再開及び経済活動再開により、注文量が大幅に増加しMAUが一層増加した。また、新型コロナウイルスの影響により、転職市場が拡大し、求人・転職サービスの利用者も急増した。 物流の回復に伴い、配送サービスのアクティブユーザも大幅に増加した。
※ 中国は都市に規模等の指標でランクをつけている。Tier1都市とは、北京、上海、広州、深圳などの大都市のこと。

1.3 トップアプリ数の増加と市場集中度の高まり
2020年1月-3月には、デジタル生活が全面に国民生活に浸透し、テレワーク・教育などの分野でユーザ規模が一段階増えた。3月末には国内におけるユーザ数が1億を超えたアプリの数は45個に達し、前四半期比27.6%増加した。日常生活におけるアプリケーション利用割合を見ると、トップ50アプリが64%を占め、過去最高を記録した。これにより、トップアプリの優位性が増し、各セグメントの市場における集中が進んでいる。


1.4 通信キャリアの市場シェアが安定、大手3社が提携し5Gのキラーアプリをリリース
通信キャリア市場のシェアは安定的に推移しており、ChinaMobileの市場シェアは67.16%と引き続き首位を維持している。1月-3月 には、通信キャリアはRCS(Rich Communication Services)に注力し、従来のSMS(Short Messaging Service)サービスは「リッチメディア」メッセージングサービスへ進化し、5Gメッセージングが開始された。 5Gメッセージングは、従来メッセージの長さ制限を破り、内容の面もテキスト制限を破り、テキスト、画像、音声、ビデオ、位置など情報の統合を遂げた。5Gメッセージングは、個人ユーザ間やグループチャットにおけるマルチメディアメッセージングインタラクションをサポートするだけでなく、リッチメディアに基づく新型デジタルインタラクティブサービスを提供することが可能になった。

1.5 中国メーカーは5G端末開発に集中、市場シェアは拡大を継続
第1四半期に携帯電話のコンシューマ市場は、コロナウイルスの影響を受け、全体の売上高は減少した。 中国の携帯電話メーカーは5G市場に対応して、様々な5Gモデルをリリースした。 ユーザシェアをみると、中国大手メーカーの市場シェアは続けて拡大している。OPPOのシェアは1.6%増の16%に達し、Huaweiのシェアは2%増の12.5%に達した。その一方で、海外メーカーのアップルとサムスンの市場シェアは減少する傾向が見える。

2. エンターテイメント:ビッグエンターテイメント(アリババが提唱した、文化とエンターテイメントの全てを網羅したコンセプト)はモバイル利用時間増加に伴い成長、ライブコマースが新たな収益成長ポイントに
2.1 動画分野のユーザ数は前年同期比3割増
2020年2月、トラフィックデータは前年同月比で大きく伸び、動画業界のユーザ数は前年同月比6.5%増の9億7200万人に達し、ユーザの視聴時間は前月比3%増、前年同期比28.9%増の270億時間となった。新型コロナウイルス流行期間、ユーザは外出の減少により家にいる時間が増え、動画視聴時間を増加させた。また、映画の公開中止に加え、多くの映画館がまだ再開されておらず、一部の視聴者は、動画アプリを長時間利用するようになった。収益の観点から見ると、ビデオプラットフォームへの広告出稿は減少しているものの、会員制ビジネスの成長はそれを補い、新型コロナウイルス収束後もビデオエンターテイメント分野のさらなる成長を見込んでいる。


2.2 連続ドラマ+バラエティ番組のダブルドライブで、Mangoは高成長を続け、各プラットフォームにおいて番組エピソードの先行配信は新たな成長ポイントとなる
2020年1月-3月、トップビデオプラットフォームは急速な成長傾向を維持しており、2月にはMangoユーザの視聴時間数が前月比16.7%増と最も大きな伸びを示した。特に連続ドラマとバラエティ番組が成長を牽引しており、1月-3月に各プラットフォームのアクティブユーザと会員の大量増加が予測される。 また、先行配信は動画サイトの主要収益源となり、さらに収益を拡大するだろう。「陈情令(The Untamed)」、「爱情公寓5(iPartment Season 5)」、「三生三世枕上书(Eternal Love,The Pillow Book)」などの連続ドラマを経て、適切な放映スケジュール設計とユーザ告知、先行配信は当たり前となり、プラットフォームのARPU(Average Revenue Per User)を高める方法の1つになるかもしれない。


2.3 ショートムービー業界は、まだまだ成長余地あり
2020年2月のトラフィックデータは前年比で大幅に伸び、ショートムービー業界のユーザ数は前月比14%増の9億800万人に達し、ユーザの視聴時間は前月比15%増、前年同期比87.6%増の313億時間となった。 新型コロナウイルスの特殊な時期において、ショートムービーのユーザ視聴時間は過去最高となった。より多くの専門家チームが乗り込んできたことで、ショートムービーは国民が知識を獲得するための最も安価で、最も速く、最も便利な方法になってきている。一方、2月には春節時期の年末特番の影響下でも、「快手(Kuaishou)」や「TikTok」などアプリの1日平均ユーザ増加量が4,000万人を突破し、ショートムービーのユーザ層が全年齢層に拡大していることが分かった。


2.4 利用時間の増加がショートムービー業界の高成長を牽引
2020年1月-3月には、ショートムービー業界は二大巨塔の様相を呈し、最大手プラットフォームの「TikTok」と「快手」の利用時間は前年比でそれぞれ12.1%と21.3%成長した。この2つのプラットフォームの利用時間は業界内の他のプラットフォームを大きく上回り、上位2位までのユーザ数がさらに増えていることを示している。「TikTok」は「一元化配信ポリシー」を採用し、運営を重視、爆発力が強く、サービスのマネタイズにおいて業界をリードしている。一方、「快手」はプロダクトを重視し、運営は軽量化している、また、「脱一元化配信ポリシー」を採用した結果、成長スピードは遅いが、ショートムービーのSNSコミュニティとして成功した。そのため、「快手」は模倣することが極めて困難であり、現在マネタイズが徐々に進んでいる。


2.5 ショートムービー業界のユーザ重複度が高まり、新製品のインキュベーションや国際化が業界の新たな関心事に
2020年の第1四半期には「TikTok」と「快手」の重複ユーザ率は37.4%に達し、「TikTok」の専有ユーザは37.1%、「快手」は25.5%である。 ユーザ年齢構成や地域分布から見ると、両方の距離は今後さらに縮まっていく。この2つのプラットフォームの開発傾向からみると、ByteDance(TikTok火山版(Huoshan)、西瓜動画(Xigua Video)、今日头条(Jinri Toutiao)など)の各アプリ間で相互送客し、TikTokの成長を支えている。また、TikTokユーザも高成長を続け、グローバル展開も大いに期待されている。一方で「快手」も新製品の成長を加速させ続け、2020年における両者の競争はますます激しくなるだろう。

2.6 ショートムービーのマネタイズが加速、ライブコマースが新たな収益成長ポイントに
フィード広告のマネタイズが進み、徐々にショートムービーのコンテンツは新たなビジネスの場となっている。それゆえ現在、ショートムービーによるEC販売はECマーケティングにおける重要なチャネルであるとされ、ショートムービーコンテンツを媒体としたマネタイズも新しい営利手段となっている。ユーザはライブを見て商品を購入することに次第に慣れている。4月1日、スマーティザンテクノロジー 前CEO 羅永浩(Luo Yonghao)は初回ライブコマースを行った。プラットフォームから提供されたデータによると、3時間に渡って行われたライブでは、売上高が合計1億1,000万元強(約17億円)に達した。 ライブコーマスは市場が選択したものであり、実店舗ブランドは成長することに苦労している。
プラットフォームにおける主な広告主はメーカーであるが、新型コロナウイルスの影響で、広告予算は大幅に削減されている。 企業はフォロワー数を増やすための広告費を払わなくなっており、実際の売上に直結できるところに広告費を払おうとしている。 KOL(Key Opinion Leader)のライブコマースは、堅調な売上数字を示している。


2.7 ライブ業界はユーザ利用時間の大幅増加の恩恵あり
2020年1月-3月のトラフィックデータは前年同期比で大幅に増加し、ライブ動画業界のユーザ数は前年同期比21%増の1億7700万人に達し、視聴時間は前年同期比28.9%増の13億3800万時間に達した。コロナウイルス流行期間、ほとんどの人が自宅で過ごしたため、ライブ業界は二度の大幅増加を迎え、ユーザ規模と視聴時間ともにここ数年で過去最高を更新した。 とりわけ、ゲーム・エンタメ系のライブ収入とユーザ視聴時間の増加が著しい。


2.8 YYがエンタメライブを牽引
YY Liveは、2月のユーザ数が前月比11.75%増の3545万人となり、エンタメライブ業界をリードしている。 YY Liveはユーザ数が増え続けているだけでなく、アンカーKOLの合計年収が74億元と、業界1位になった。特徴は、芸能人による長時間ライブストリーミングで大张伟(Da Zhang Wei)、张远(Zhang Yuan)、摩登兄弟、曾一鸣(Ceng Yiming)などの芸能人が続々と「タレントの常時ライブ放送」に参入した。これによりYY Liveは芸能人のライブストリーミングの新境地を開拓している。 ライブストリーミング業界の発展に伴い、ユーザは新たなエンタメへの欲求、KOLとコンテンツの充実に対して、高い要求を出している。そのため、KOLと高品質の自作ライブコンテンツは各プラットフォーム戦略の焦点となっているだろう。 一方、YYは海外のソーシャル動画プラットフォーム「BIGO」を14.5億ドルで買収し、Likee、imo、BIG LIVEなどのアプリを通したグローバル展開の戦略が徐々に明らかになっている。


2.9 ゲームライブが外出自粛に貢献、ユーザ数は大幅に増加
1月-3月には、ゲームライブ視聴率が徐々に回復していた。3月には「闘魚(DouYu)」と「虎牙(Huya)」のユーザ規模はそれぞれ2882万人と2477万人に達し、前月比28.4%と28.7%増であった。 新型コロナウイルス流行期間、闘魚は「武汉,加油(武漢、頑張れ)」というライブ配信コーナーを設置し、武漢の現地状況、医療現場と伝染病予防知識の三つのカテゴリに分けて情報発信をおこなった。内容には、呼吸器科専門家による伝染病予防知識、経済専門家と経営専門家による企業のリスクヘッジおよび伝染病関連産業への現場訪問などが含まれていた。「闘魚」はCCTV、新華社と連携してコロナ関連ライブを1100回行い、視聴数は8700万を上回った。


2.10 ゲームライブ業界はさらに寡占が進み、教育分野が新たな成長ポイントに
1月-3月には、ゲームライブ業界の集中度がさらに高まった。そのメインユーザは学生であり、「闘魚」と「虎牙」の学生ユーザはそれぞれ30.2%と30.0%に達した。 開校延期の状況下で、より多くの教育グループや企業が「闘魚」ライブ教育に参入し、春節以降、「闘魚」におけるオンライン教育チャンネルは毎日3000以上を追加し、アクティブ放送数は前月比7倍に達した。


2.11 大手モバイルゲームが増収増益、カジュアルゲームは暇つぶしの手段に
新型コロナウイルスの影響を受けて、家にいる時間が長くなり、モバイルゲームが大きな恩恵を受けている。「和平精英(Game for Peace)」が2月と3月連続での売上中国国内一位を獲得、利用者数が1億3300万人に達した。「王者栄耀」のユーザ数が2月に1億7,000万人に達し、年末比19%増となり、2019年の夏の水準を超えた。 ユーザ数が百万人規模のゲームの中でカジュアルゲームが高い成長を見せ、Plants vs Zombies、Snake、TomBearなどのゲームでは、ユーザ数が40%増加した。

3. オンラインショッピング:ユーザの購買意欲が回復、実体経済の活性化が進む
3.1 オンラインショッピングがオフラインの売上減少を補い、モバイルショッピングが大幅に売上を伸ばす
2020年1月-3月の小売業は、コロナウイルスの影響により、莫大な打撃を受け、社会消費財小売総額は前年同期比20.5%減となった。 小売総額が全体的に激減しているところ、商品のオンライン販売(EC)は依然3%の成長を達成している。ECの割合は前年同期比5ポイント増の21.5%を占めており、ECは社会消費財の小売総額をけん引する重要な駆動力となった。 コロナウイルス流行が徐々に収束するにつれて、国民の生活と仕事が日常を取り戻し、前期に抑制されていた購買需要が蘇った。 各大手ECプラットフォームはこれを機に、マーケティングに力を入れ、新たなキャンペーンを多数用意している。モバイルショッピング分野においてMAUは9億300万人に達し、前四半期比0.86%増加した。

3.2 農村市場に大きなチャンスが潜む、コロナウイルス流行期間中に爆増したEC新規ユーザの所在
コロナウイルスの影響を受けて、より多くのTier3以下都市(※)の住民がオンラインショッピングを利用し始めた。データによると、Taobao、Pinduoduo、小紅書(RED)のユーザ構成において、Tier3以下の都市に住むユーザが占める割合が前月比1%以上増加していることが分かる。

3.3 特価版TaobaoはC2M(Customer to Manufacturer)戦略を展開、価格を武器にし、ユーザの注目を集める
3月、Taobaoは、今後3年間の目標を含む、C2M戦略を発表した。この発表では、1000以上の工場を「スーパーファクトリー(1億元以上の生産額を持つ工場)」にリニューアルし、産業ベルト企業向けに100億元の注文を創出する予定。中国内で100億元以上の生産額を持つデジタル工業区を10箇所構築する。 そしてこの戦略は、まさに「特価版Taobao」プラットフォームの構築である。
工場の生産とユーザの注文を直結した結果、流通の中間マージンを排除し、「特別価格」を可能にする。また、Taobaoのビックデータ分析力により、ユーザのニーズを迅速、包括的、正確に工場側にフィードバックする。工場のリスクを軽減し、工場のレジリエンスを向上させる。 一般ユーザ、特に農村市場のユーザから見れば、豊富な品揃えと低価格、アフターサービスにより、日常の買い物のニーズと利用意欲を刺激するだろう。 その結果、TaobaoのC2M戦略が発表された当日、特価版TaobaoがAppStoreの無料アプリランキング1位になり、3月のMAUは2月と比べ38.6%増の1706.9万人に達した。


3.4 生鮮食品類ECのユーザが激増、Hemaユーザ規模は業界トップ
コロナウイルスにより生鮮食品類ECは1月-3月に急速に成長した。とくにHemaユーザは1735.1万人と、前年12月より34%の増加し、「多点」アプリを超えて生鮮食品類EC分野でトップになった。 コロナウイルス流行以降、Hemaは絶えず湖北省産品の販売に力を入れた。例えば、3月の「熱乾麺」の販売量は2月の16倍に達した。 Hemaは「事前配置倉庫モデル(Prepositioned Warehouse)(店舗と一体化した倉庫を顧客群の近いところに置くモデル)」を放棄し、コミュニティスーパーのHemaMiniを展開するつもりである。事前配置倉庫モデルと比較して、コミュニティスーパーは距離の問題を解決すると同時に、オンラインとオフラインの統合的な消費体験、低コストでの顧客獲得、低損失などの利点が挙げられる。
コミュニティスーパーの各店舗は中小型の倉庫兼配送センターでもあり、大型倉庫からは各店舗に配達すれば良い。「ラストワンマイル」問題も注文を受けた後に、各コミュニティスーパーから配達することで、3キロ圏内のユーザに30分以内の配送を実現できている。
3.5 アリババは積極的にB2B業界の操業再開を推進し、取引の回復を促進するために多くの支援活動を開始
アリババは、コロナウイルス収束後のB2B産業の再開を積極的に推進しており、取引の回復を促進するために多くの支援活動を開始した。例えば、3月の「新貿易祭」では、アリババ海外サイトでの新規ユーザ手数料と配送費の免除、ビジネスチャンスの開拓とコンプライアンス保護などを実施し、売り手と買い手の苦境を乗り越えるための支援をした。データによると、新貿易祭の開始から12時間で、流通総額が前年同期比91%増、有料購入者数は62.8%増であった。 3月24日、1688(アリババチャイナ)は商人祭を開催し、中国内の145の産業と協力し10万以上の工場から2020年春夏の新製品を何百万と市場に送り出した。また、オンラインライブ配信により中国国内工場と世界中のバイヤーをつないだ。 一連の支援策とキャンペーンのおかげで、3月アリババアプリのMAUが1385.4万人に達し、前四半期比14.9%増となった。

4. 細分化された分野:スマホで仕事こなすスキルが必須となった。スポーツやフィットネス、料理、オンライン教育は若年層の在宅生活に必要不可欠なサービスに
4.1 ソーシャルネットワークは全体的に小幅な成長を続けており、Weiboは迅速なコロナウイルス情報発信により、ユーザ数が急成長
コロナウイルス流行期間、ソーシャルネットワーク分野のユーザ数は堅調に推移し、1月-3月には前年12月比0.43%増の10億1400万人に達した。1月-3月に、SNSアプリの中ではWeiboのユーザ数が最も大きく伸び、Weiboのユーザ数は前年12月比12.16%増の4億1000万人に達し、Weibo国際バージョンのユーザ数は前年12月比22.89%増の340万7000人に達した。 Weiboの成長の原動力となったのは、コロナウイルス流行開始時にコロナウイルス関連の専用チャネルが設置されたことである。 このチャネルで各種のコロナウイルス関連情報を揃えて、常にタイムリーに更新され、コロナウイルス発生の予防と抑制のために大きく貢献した。


4.2 フィットネス関連企業は明暗が分かれる、屋内フィットネスアプリは急成長
コロナウイルスの発生により、ヘルスケアが国民的な関心事となり、フィットネスに注目が集まった。 コロナウイルスの流行に直面して、体の抵抗力を向上させる方法が広く注目を集めた。Weiboのデータによると、3月18日の時点で「#ホームフィットネス」のトピックは、4億3000万の閲覧数と134.5万のコメントを達成した。 オンラインフィットネスは、明確な成否が現れた。「Keep」は屋内の利用シーンが多いため、ユーザの成長が著しく、1月-3月のアクティブユーザ数は3396万人と、前年12月と比べ37.9%の増加に達した。一方、ランニングとスクエアダンスなど屋外フィットネスアプリはユーザが減少した。


4.3 「Keep」はユーザ層拡大、中年男性の割合増加
Keepのユーザ構成を見ると、2020年1月-3月には男性ユーザの割合が35.6%と、前年同期比6.2%増となった。特に24歳以上のユーザの割合が4%増となっており、引き続き中年男性ユーザが増加している。


4.4 「下厨房」は今の若者世帯には欠かせないアプリ
新型コロナウイルス流行期には、大量の飲食店が休業し、自炊が余儀なくされたため、若年層の間で料理アプリの人気が高まった。春節時期には料理アプリ「下厨房」が同時アクセスが多すぎサービスダウンしたほどである。 3月末で、「下厨房」アプリの利用者数は1920.7万人と、前年12月と比べ19.6%増加した。 ユーザ構成を見ると、「下厨房」のコアユーザは若く、30歳以下の割合は58.9%に達した。

4.5 リモートワーカーが急増、関連サービスが普及
新型コロナウイルス肺炎の流行で、在宅勤務が国策レベルで提唱され、需要は爆発的に増加した。 1月-3月のリモートワークのユーザ数は2億2000万人に達し、前年12月と比べ153.5%増となった。 短期的には、釘釘(DingTalk)、企業版WeChat、騰訊会議(Voov)などのサービスでユーザ数が大幅に増加した。また、長期的にはリモートワークが中小企業のDXを加速させることも期待できるだろう。 3月の操業再開後もリモートワーカーは増え続けていることが確認された。当然、関連SaaS(Software as a Service)が企業の必須ツールになることが予想され、この分野のさらなる成長を期待できる。

4.6 教育分野でのユーザが順調に増加、オンライン授業がニューノーマルに
コロナウイルスの影響により、2月にはオンライン教育はトラフィックのピークを迎え、複数の領域でユーザが急増した。流行期間を通して、トップアプリのランキングは移り変わり、業界の競争は激化している。 学校は閉鎖するが、教育を止めるなという声に応えて、初等・中等教育分野では多くのブランドが無料のオンライン授業を開設している。冬休み期間に比べて、この段階で求められる学習水準はより厳しくなっている。その中で、教育プラットフォームはオフラインでの教育と同様に教師、学校、学生をつなぐ役割を完全に果たし、教育の進行を支援している。Tencent Classroom、StudyTone、China University MOOCなどのプラットフォームは効果的に新規ユーザを獲得し、大幅な増加を達成した。 3月に入ってからは、一流オンラインコーチングプラットフォームによってもたらされた増加ユーザが後退しており、今後、ユーザ維持とコンバージョンの状況を継続的に観察する必要がある。
「粉笔」、「モッキンバード」、Together Teachers、中国会計オンラインスクールなどの職業教育の一流アプリは今月もユーザは増え続けている。オンライン職業教育を通じて、「個人の成長を図る」ことは、多くの求職者の不安を解消し、就職を助けるための選択肢となっている。



4.7 労働者はTier1都市へ回帰、仕事や生産の再開によって需要が生み出され、生活サービスの複数領域でユーザが急増
コロナウイルスの収束につれ、各地で仕事や生産が再開されたことで、生活領域におけるユーザ数の回復が見られた。月間アクティブユーザ数は、3月末に4億3700万人に達し、9月-12月に比べ7.63%増加した。 多くの生活領域サービスが好調に推移しているが、飲食店の回復が徐々に進んでいることや、日々の通勤が再開されたことにより、特にフードデリバリーの注文が大幅に増加した。月間アクティブユーザ数は急増し、3月時点でフードデリバリー領域のユーザ数は1億800万人に達し、9月ー12月に比べ14.6%増加した。
毎年3月から4月は、中国で「金三銀四」と呼ばれ人材採用の最盛期となる。今年はコロナウイルスの影響と相まって、人々の転職ニーズが高まり、人材紹介業界ではトラフィックが増加し、月間アクティブユーザー数は3.5億人、9月-12月に比べ39.7%増加した。 また、宅急便や物流の回復に伴い、宅急便業界も月間アクティブユーザー数が4,300万人に達し、前年同期比で 8.6%増となった。


翻訳担当者
有志
C Channel株式会社 執行役員 小野邦智
株式会社シンシア 代表取締役社長 徐聖博
日本CTO協会
担当理事 名村卓(株式会社メルカリ 執行役員)
PM 松下清隆
インターン 石川太洋
インターン 梅晓凡
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