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【突撃!隣のCTO】「過去に戻りたい」と思ったことは一度もない:毎日が過去最高に楽しい人生を歩む 株式会社ミクシィ 取締役CTO 村瀬 龍馬さん Vol.17

2022年6月9日

レポート


株式会社ミクシィ取締役CTO 村瀬 龍馬さん

様々なCTOにキャリアや原体験、これからの野望などをインタビューする、techcareer magazine(テックキャリアマガジン)とのコラボレーション企画「突撃!隣のCTO」。

今回は、株式会社ミクシィ取締役CTO 村瀬 龍馬さんのインタビューをお届けします。小学生の頃にはまったゲームをきっかけに、他の職業には目もくれず、「エンジニアになること」を目指し、学生生活を送られた村瀬さん。「少しでも早くエンジニアとして働きたい」という思いから、専門学校を中退して就職を選択。エンジニアとして怒涛のキャリアを歩み、現在は日本を代表するIT企業の1つであるミクシィのCTOとして活躍されています。そんな村瀬さんが大切にされていることは、「毎日を楽しむこと」。過去に戻りたくないくらい、毎日を全力で楽しく生きている村瀬さんとはどのような人か、その人物像に迫ります。


■卒業文集に書いた夢は「ゲームクリエイター」

村瀬さんがエンジニアを目指されたきっかけを教えていただけますか?

小学生時代に、父親の影響でゲームにはまったのが一番最初のきっかけです。父親は、家でパソコンをよく使う人で、ゲームも好きでした。その影響で、私もゲームに興味を持つようになったんです。卒業文集にも、将来の夢は「ゲームクリエイター」と書いていました。その時から、「将来はエンジニアになるんだ」と思い続けていました。

ー学生時代は、実際にプログラミングをされていたのですか?

初めてプログラミングをしたのは、中学生の時です。その時は興味も分散して3Dのモデリングなどもしてみました。その後は、「授業でプログラミングを学べる高校に行きたい」と思い、商業高校でCOBOLを学ぶことに。並行して、プライベートでも独学でプログラミングを勉強していました。当時はすでにインターネットがあり、MMO(Massively Multiplayer Online)のゲームにはまっていました。そこで一緒に遊んでいた人たちがゲーム業界で働いていたこともあり、彼らからプログラミングで学ぶべき領域を教えてもらったんです。

ーどのように独学で学ばれたのですか?

同じ技術の本を5冊、同時進行で読みました。1冊だけだと分かりづらいところも、他の本を見ると理解できることがあります。また、1冊だと挫折してしまったり、飽きたりしてしまうのですが、同時進行ではそれも回避できました。複数の本を何度も読み返す中で、一つひとつの技術の不明点を解消しながら、それぞれの本の重要な共通項を見つけて理解を深めました。分からないことは、知人のエンジニアに聞けば良いと思っていましたが、ほとんど聞くことはなかったです。また、インターネットで公開されているコードも見ていました。人のコードを読むことで、学べることも多かったです。

■「早く働きたい」と思い、専門学校を中退:優秀なエンジニアから学び続ける日々

ー高校卒業から、エンジニアになるまでの経緯を教えていただけますか?

高校卒業後はゲーム作りが学べる専門学校に進学し、アクションゲームを作りました。一般に公開することはせず、身内に見せて遊んでいただけに近いです。その過程で、ゲーム作りよりも「ものづくり自体」の楽しさを感じました。学生時代から「早く働いて自立したい」と思っていたこともあり、専門学校を中退してミクシィの前身であるイー・マーキュリーにエンジニアとして入社しました。

ーイー・マーキュリーでの業務内容や働く環境について教えてください。

「mixi」というSNSの開発を行いました。当時はスタートアップフェーズだったので、起きている時間のほとんどをプログラミングにあてるくらい働きました。私はプログラミングが好きだったので、全く苦にはならなかったですね。また、優秀な人たちが多く在籍していたので、考え方やコードの書き方など多くのことを学べました。1人で作るにはどうしても限界があります。しかし、イー・マーキュリーに入り、「組織が最高のものを作る」と強く実感したんです。「mixi」が順調に拡大し、海外のSNS事業を立ち上げた後、縁あって別のゲーム会社に取締役として転職することになりました。

なぜ、ゲーム会社に入社されたのですか?

ゲームは昔から好きだったので、ずっとその動向を追っていたんです。海外のSNS事業を立ち上げたタイミングで一区切りだと思い、転職を考え始めました。私は、人生において決断をする時はぱっと決めるようにしています。情報を集め、寝て起きた時に考えていたほうを選択するんです。その結果の転職でした。Unityを使ったゲーム会社だったのですが、結果的には事業がうまくいきませんでした。

ーその後は、どのようなキャリアを歩まれたのですか?

優秀な人達がいるゲーム会社で働きたいと思い、業界では有名なディラン・カスバートさんが設立した京都のゲーム会社、キュー・ゲームスに入社しました。50人弱くらいの少数精鋭の会社で、多様なスペシャリストが集まった組織でした。優秀なエンジニアやデザイナーが多く、彼らの働き方を間近で見られたことは良かったです。1本のゲーム開発に関わった後に、ミクシィに復帰することになりました。

■「やれることはなんでもやる精神」でミクシィのCTOに

ーどのような経緯でミクシィに復帰されたのですか?

キュー・ゲームス時代に、ミクシィの役員とお会いする機会があり、「戻ってこないか」と誘われたんです。いろいろと考えた結果、ミクシィでまだやり残したことがあると感じ、復帰しようと決意。現取締役ファウンダーの笠原さんに会いに行き、「戻って良いですか」とお願いして了承いただき、改めて面接を受け直し、合格しました。

ー「やり残したこと」とは、具体的にどのようなことだったのでしょうか?

2つあります。1つ目は、「お世話になった笠原さんへ恩返し」です。ミクシィを含む3社で身につけた開発スキルだけでなく、経営経験も活かして、ミクシィの成長に貢献したいと考えました。2つ目は、「たんぽぽグループへの参加」です。たんぽぽグループとは、ミクシィにある技術特化の精鋭集団のこと。エンジニアとして、すごいスペシャリティを持った人たちが所属しています。CTO協会理事の松岡さんや広木さんも、元たんぽぽグループのメンバーです。

ー復帰後の業務内容や、CTOになるまでの道のりを教えてください。

復帰当初は、子会社の技術支援や、SNS「mixi」の開発を行いました。その後、全社的に大きな成長を期待されていたスマホゲーム「モンスターストライク」の開発に移ることに。成長にあわせて負荷対策や自動化、効率化を実施しました。そんな中、「なんでもやる精神」で他の事業部の支援を行うなど横断的な動きをしていると、多方面から技術的な相談が来るようになったんです。同時期に10事業ほどを見ていましたね。すると、開発室室長、執行役員と徐々にポジションを上げていただき、今のCTOに至りました。

■技術者としては「点」で、経営者としては「面」で捉える

現在、村瀬さんが「技術者」として取り組んでいることと、これから取り組みたいことを教えていただけますか?

技術者として取り組んでいることとしては、「エンターテインメント」と「ライフスタイル」の2つの事業領域で、「家族や友達とどのように関わると楽しくなるのか」ということを日々考え続けています。これから取り組みたいことは、「新しいエンタメ」を作ることです。今は良いもので溢れているので、新しいものを生み出すことはかなり困難。そのような状況下で、例えば競輪やオートレースが楽しめる共遊型スポーツベッティングサービス「TIPSTAR」では、ローカル5Gや屋内用GPSといった技術を用いた目新しいものを作ろうとしています。「FC東京」や「千葉ジェッツふなばし」のプロスポーツチーム運営においても、「会場に来られない人たちを楽しませるためには?」という問いを持って進めています。無料で良いものを提供することは簡単ですが、お金を払ってでも受けたいと思えるサービスを作るのは簡単ではありません。これを実現させるためには、技術とマーケティングが不可欠です。

一方で、「経営者」として取り組んでいることと、これから取り組みたいことは何ですか?

取り組んでいることは、何よりも会社の成長へのコミットです。そのため、法改正など経営に関わるあらゆることへのキャッチアップも欠かせません。また、成長の拡大のためにリソースの最適配置も行っています。ミクシィには、スペシャリストが多く在籍しています。良いものが売れるわけではないので、そういったスペシャリストたちが成果を出せるよう、売れる領域を任せる必要があります。活躍の場を適切に用意することも、経営者の役割です。これらとともに、今後は、エンジニアの育成にも力を入れていきたいと考えています。産業界全体で、エンジニアの需要が急激に高まるにも関わらず、供給が追いついていません。そうなると、1人に任せる範囲が広くなるので、自社での育成が必要になります。このように私は、技術者としては「点」で捉え、経営者としては「面」で捉えています。技術のスペシャリストになるためには、深い知識が必要ですが、経営者としては、幅広い領域を押さえていないといけませんから。

■「毎日が楽しい」と思えるものを見つける

ー今後、どのようなエンジニアが求められると思いますか?

T型人材が求められると思います。プログラミングだけでなく、幅広い技術を持つ人材です。何か1つの技術だけを深掘りするのであれば、その技術の開発元に行ったほうが良いのではないでしょうか。自分の思考とアイディアを広げるといった意味でも、ミクシィではT型の知識を身につけることを推奨しています。とは言いつつも、「楽しい」という気持ちを持つことも重要であると考えています。

ーお話をお伺いする中で垣間見えた気もしましたが、村瀬さんが大切にされている信念や価値観はありますか?

「今日が一番楽しい」と思えるかどうかです。私は、「過去に戻りたい」と思ったことは一度もありません。それくらい、毎日を楽しめるものを見つけることが大切です。エンジニアに向けて言うと、それがプログラミングである必要はありません。一緒に働く人などでも良いと思います。一方で、楽しいけど評価されないこともあります。そのため、楽しいことと評価が結びつくところを見つけることも重要です。自分の体力と心をすり減らすことが一番の不幸なのではないでしょうか。

ーこれからの目標や野望はありますか?

日々楽しむこと。これに尽きますね。毎日「今日が楽しい」と感じていれば、未来もずっと楽しくなるはずです。もちろん私も人間なので、ストレスを感じることもあります。しかし、それも含めて日々を楽しむようにしています。変化が激しい時代なので、未来のことを考えても仕方ありません。普段から様々な情報を収集し、臨機応変に対応できる準備をすることが大切だと思います。一方で、強い意志も必要です。例えば、「Web3.0が来るからこれをやる」といったように、1つの点に向かって突き進むことが出来れば、楽しく日々を過ごすことに繋がるのではないでしょうか。

■技術難易度の高いエンジニアリングに挑戦したい方を募集中

ー最後に、貴社ではどのようなエンジニアさんを求めているかを教えてください。

当社のビジョンへの共感を前提に、「技術難易度の高いものにチャレンジしたい人」や「エンジニアとして一緒にものづくりを楽しめる人」を求めています。当社には、尖ったエンジニアが多数在籍しています。そのような環境で、新しくて技術難易度の高いことに取り組むことが可能です。興味のあるプロジェクトのみ入っていただき、また機会があれば呼んでくださいといったような、プロジェクト単位での関係でも良いのではないかと考えています。やりがいを感じられる環境で働いたほうが、エンジニアさんだけでなく、日本のためにもなるはずです。そうは言っても、やりがいのある環境を提供することがマネージャーの役割なので、ここを怠っても良いというわけではありません。多岐にわたる事業や業務があるので、経歴などは気にせず、興味をお持ちいただけた方はぜひ一度お話しましょう。

■取材を終えて

今回のインタビューを通して、村瀬さんからは、とてつもないエネルギーを感じました。「毎日を過去最高に楽しむ」という想いが溢れ出ており、インタビューの場にいた人全員が楽しい気分になっていたと思います。「楽しむ」という言葉の裏で、すさまじい努力を重ねていることも感じました。それだけの努力ができるのは、「プログラミングやものづくりが好き」という純粋な気持ちがあるからなのでしょう。誰よりも人生を楽しんでいる村瀬さん。そんな彼が作る「新たなエンタメ」と「エンジニアリング組織」が楽しみです。

プロフィール:村瀬 龍馬さん

2005年に株式会社イー・マーキュリー(現:株式会社ミクシィ)に入社。SNS「mixi」の開発に携わる。2009年に当社退職後、ゲーム会社などを経て、2013年に再度当社に入社。主にモンスターストライクの開発業務に従事。2016年7月、XFLAGスタジオ ゲーム開発室長に就任し、XFLAGのエンジニア全体を統括。2018年4月、当社執行役員CTO就任。2019年6月、当社取締役執行役員CTO就任。2020年4月、当社取締役CTO就任。2022年4月より、当社取締役CTO 上級執行役員(現任)